カシアの特徴
カシアはシナモン(セイロンシナモン)と同じクスノキ科ニッケイ属の植物から採れる樹皮をスパイス利用したもので、カシアは中国南部やベトナムが原産地、セイロンシナモンはインド・スリランカ原産という違いがあります。
カシアの樹皮は厚さと硬さがあり、外側は灰褐色。市販のシナモンのようにきれいに巻かれていません。
中国伝統医学や漢方では生薬の「桂皮」として知られており、体を温め冷えからくる体の不調を緩和させる働きがあるとされます。体がポカポカするので冬場の寒い時期などに取り入れてみては。
カシアの味・香り
甘い香りとかすかな辛みを持つ独特の芳香。繊細だが強い香りで、木のような温かみを感じられる。シナモンの方がやや柑橘系の香りが強く、カシアは甘さに加えて辛みがあります。
料理での活用方法
基本的にはシナモンと似た香りがあるので、シナモンの代用品として使うことも可能です。
五香粉の重要な材料
カシアはクローブや花椒と共に、中国の香辛料「五香粉」の重要なスパイスの1つに挙げられます。
花椒やクローブは辛味や香りが特徴的なため風味のキツさが強調されがちですが、カシアの甘い芳香がマイルドさをプラスしてくれます。他にはフェンネルやスターアニスを加えて5種類に。エキゾチックな香りになります。
肉料理の風味づけに役立つ
カシアの甘くて濃い香りは、中華料理のうち特に肉を使った調理で役立てられます。粉末を振りかけるほか、ホールを煮込みに入れて香りづけにするなどの方法が一般的。辛味が強めなカシアはこってりした料理とよく合います。
スパイスはブレンドした方が風味がマイルドになるため、カシア単体よりも五香粉の方が使いやすいですが、中華炒め、カシューナッツ炒め、角煮、チャーシュー、火鍋などでカシアが使われることがあります。
野菜料理の風味づけにもよい
カボチャやサツマイモのような味が濃い目の野菜や、淡白な豆・卵が中心の料理にもよく合います。肉と同じく煮物に使いやすく、味を調えるのに便利です。
インド料理にも使われる
カシアは中華料理以外でもインドのカレー粉やガラムマサラに使われることがあります。また、カシアの葉は「インディアンベイリーフ」と呼ばれローレル(月桂樹)のように、煮込みやスープに使われます。
お菓子・パン作りで活躍
カシアはリンゴやイチジクと相性が良く、アップルパイやフルーツタルト、ケーキ、クッキーなどのお菓子作り、パン作りで甘い風味づけに使うことが出来ます。コーヒーやココアの香り付けにも良くシナモンココアに便利です。
カシアを使った主な料理と合わせやすい食材
五香粉、中華炒め、カシューナッツ炒め、角煮、チャーシュー、火鍋、カレー粉、ガラムマサラ、煮物、パン、ケーキなど
組み合わせやすい素材
食材
リンゴ、肉類、豆類、根菜類、イチジク、プラムなど
ハーブ・スパイス
クローブ、カルダモン、コリアンダーシード、クミン、フェンネル、ジンジャー、ナツメグ・メース、スターアニス、ターメリックなど
効能・効果
カシアは基本的にシナモンとよく似た効能があり、消化器の活性化、血行促進、抗菌、健胃などの働きがあるといわれます。カシアは末梢血管を拡張する働きがあるため身体が温まります。冷え性や肩こりの改善、心身のリラックス、食欲不振などに効果的。
漢方の生薬としてはこのカシア「生薬名:桂皮」の方が使われ、発汗、解熱、鎮静、鎮痛などを目的に葛根湯などの漢方薬に配合されています。
- 抗ウイルス作用
- 抗菌作用
- 健胃作用
- 発汗作用
- 駆風作用
使用時の注意
妊娠中の人は使用に注意が必要とされます。
カシアの基本情報
学名 | Cinnamomum cassia |
英名 | Chinese cinnamon、cinnamon |
別名 | 桂皮、肉桂、トンキンニッケイ、チャイニーズシナモン |
科名・属名 | クスノキ科ニッケイ属 |
原産地 | 中国南部~ベトナム |
使用部位 | 樹皮 |
歴史・エピソード
ベトナム北部原産のカシアが最も品質が良いといわれます。
中国で2000年以上前に書かれた本草書『神農本草経』では、桂皮は上中下あるうちの最もよい「上品」のランクに分類されており、古くから養生に良い生薬だと考えらえていたようです。