ワサビの特徴
ワサビは和食と共に海外へ広まった、日本原産のスパイス・ハーブです。寿司やお刺身の辛み付けやお茶漬けなどでよく使われていますよね。
鼻にツーンと来る刺激的な辛味は、ワサビと同じアブラナ科の野菜であるからし菜にも含まれるカラシ油配糖体の「シニグリン」という成分によるもの。シニグリンはすりおろすことで水分と酵素の利用により加水分解されて発生します。
さらに、強力な殺菌作用があるため、ワサビは生の食材と一緒に使うと抗菌・防腐の効果も得られます。
ワサビの味・香り
辛味のある独特の味わいで、シャープで爽やかな香りがが鼻を刺激します。
料理での活用方法
ワサビは後引く強い辛味が特徴ですが、この香りは揮発性のためすりおろした後数分でなくなることがほとんど。また、加熱した場合も辛味や風味が失われやすいので、お寿司屋刺身、お蕎麦など冷たい食べ物に添える方が良いです。
市販の練りワサビに使われているワサビは、「西洋ワサビ」または「ワサビ大根」と呼ばれるホースラディッシュであることも多いといいます。
こだわる時は本ワサビ入りがおすすめです♪
ワサビが良く使われる料理
根茎をすりおろして薬味やペーストに
一番よく知られている使い方ですね。市販の練りワサビが便利ですが、生のワサビをすりおろして食べるのも風情があります。
辛味成分は根茎の上部にあるのでゴリゴリとすりおろして使います。より辛い方が良い場合は、すりおろしたワサビを包丁の背で叩くと辛味成分が出やすくなるといいます。
日本では生魚を使った寿司や刺身、鰻の白焼などによく添えられますが、ローストビーフや洋風ソース、辛めのドレッシングにも使えます。
お寿司の辛味・具にする
お寿司ではワサビだけを巻きずしの具にした「ワサビ巻き」や、葉の醤油漬けを使った「葉ワサビの海苔巻き」などがあります。お酒のお供やおつまみに。
醤油と一緒にして「わさび醤油」に
お刺身などで人気の「わさび醤油」。好みによってワサビと醤油のほかみりん、酢、サラダ油などを加えられます。
ワサビと醤油を混ぜるとワサビの辛味が弱まり、そのまま食べるよりもマイルドな風味に。多めに作れば和風ステーキや漬け物、和え物にも使い道があるので、アレンジを楽しんでみて。ネットでもたくさんレシピが見つかります。
花や葉はお浸しやてんぷらに
花や葉も食用できるので、お浸しやてんぷら、和え物、漬け物などに便利です。「わさび漬け」は刻んだ葉や茎を醤油や酒粕と一緒に瓶に詰めたもの。ワサビ本来の殺菌効果により長持ちしやすくなります。
生ワサビと本ワサビの違い
- 生ワサビ … 茎からすりおろした後特に加工をしていないもの。
- 本ワサビ … 日本原産のワサビのこと。西洋料理に使われるのは「ホースラディッシュ」などがある。
ワサビをすりおろす時の道具は?
ワサビの辛味成分は酸素と触れることによって発生するため、細かく摩擦できるおろし器が良いといわれます。
伝統的にはサメの肌を使った「鋼鮫板」と呼ばれる道具が使われてきました。ワサビ用のおろし器は本来金属を避けた方が風味が良くなるそうですが、細目の金おろしも使われます。
ワサビを使った主な料理
寿司、刺身、鰻の白焼、蕎麦、茶漬け、ワサビ巻き、わさび漬けなど
組み合わせやすい素材
食材
生魚、シーフード、米、醤油、アボカドなど
ハーブ・スパイス
ショウガ、大豆など
効能・効果
ワサビは高血圧の予防や血行促進に良い働きがあり、辛味による食欲増進作用があります。
特に抗菌作用に優れ、腸菌ビブリオやO-157、サルモネラ菌、ピロリ菌などを防ぐほどの抗菌力があるといわれます。
- 抗菌作用
- 殺菌作用
- 抗酸化作用
- 食欲増進作用
- 消化促進作用
- 抗血栓作用
- 解毒作用
ワサビの基本情報
学名 | Eutrema japonicum |
英名 | Wasabi、Japanese horseradish |
別名 | ー |
和名 | ワサビ(山葵)、本ワサビ(本山葵) |
科名・属名 | アブラナ科ワサビ属 |
原産地 | 日本 |
使用部位 | 根茎、茎、葉、花 |
水ワサビと陸ワサビ
水ワサビ | 山の良質な湧水を利用して栽培されるワサビのことです。長野の安曇野、伊豆・天城山周辺が産地として知られています。 |
陸ワサビ | 普通の畑やハウス栽培で育てるワサビです。保水性があり、水はけのよい土壌で育てられます。 |
花ワサビ | 春に咲く花のことで、辛みがありてんぷらなどにできる。 |
ワサビはアブラナ科の植物で、水ワサビと呼ばれる種類は山間の涼しい川辺や湿地で育ちます。高さ40㎝ほどの多年草で、根元からは30㎝ほどの長い葉が生えてきます。春になると4枚の花びらを持つ白い小さな花が咲き始めます。
スパイス的に使われる根茎は渓流の流水がないと大きくならないため、基本的に土で栽培する場合は葉や茎を収穫する目的で育てられます。
歴史・エピソード
ワサビは生薬として平安時代の『本草和名』にも記されている植物です。しかし、生息地域が限定的なため、江戸時代頃まで一般的ではありませんでした。
江戸時代中期(1700年代)に握り寿司が開発されると、新鮮な寿司の辛味・保存にワサビが使われるようになり、寿司が広まるとともにワサビの存在も良く知られるようになったそうです。