スターアニスの特徴
スターアニスはトウシキミという木から収穫される果実で、独特の甘い香りがあり中華料理では欠かせない「五香粉」によく加えられるスパイスです。
ホールのスターアニスはやや不揃いな八角の星形をしており、かなり特徴的な見た目をしています。乾燥させたものがスパイスとして活用されます。
中国と関りの深いスパイス
中国料理を中心に、ベトナムなど東アジアの料理では香りづけによく使われるスパイスです。
中国では「八角」「大茴香 (だいういきょう)」「八角茴香」などと呼ばれ生薬の一つに数えられるスパイスですが、アニスに似た甘い香りがあり、見た目が星のような形をしていることからヨーロッパで「スターアニス」と名付けられました。
ちなみにアニスはセリ科の植物で、スターアニスとの植物学的なかかわりは全くありません。
スターアニスの味・香り
アニスやフェンネルに良く似合た香りで、甘草のような辛みと独特の甘み。
料理での活用方法
スターアニスは独特の甘ある香りが人気のスパイス。中華料理では肉料理を中心にエキゾチックな風味を付けてくれます。
スターアニスはアニスと同じ香り成分のアネトールという成分が含まれるため、アニスの代用品として使われることも多く、ヨーロッパでも魚のシチュー、ピクルス、ポトフなどに使われることがあります。
スターアニスを使う時の基本
スターアニスは香りが強く、使用量が多いとかえって風味が落ちてしまうので注意が必要です。そのためホールで使うよりも、粉末で少しずつ加えて調理する方が味が調整しやすくなります。
スターアニスが良く使われる料理
中国料理
日本でも良く作られている多くの中華料理と相性が良く、餃子、麻婆豆腐、八宝菜、中華麺、中華系スープなど比較的なんにでも加えることができます。
特に鶏肉や豚肉と相性の良いスパイスで、豚の角煮、「東坡肉(トンポーロウ)」、「牛肉麺(ニューローメン)」、肉類を使った煮物などに活用されます。他のスパイス・ハーブと一緒に肉にまぶして下味付けに、スープのベースにして香りの主役にできます。
さらに、中華の米料理とも合い、シンプルなチャーハンや「魯肉飯(ルーローハン」に加えると甘みが引き立ち、豊かな風味に。スターアニスは五香粉の材料の1つとしても知られており、花椒または山椒、クローブ、シナモン、陳皮と一緒にブレンドされます。
デザート
スターアニスの持つ甘味は杏仁豆腐やシロップの香り付けに使われています。
また、台湾にはおウーロン茶などのお茶にスターアニスを入れて漬け込んだ煮卵「茶葉蛋(tea egg)」があり、軽食として親しまれているそうです。甘味のあるシロップやジャムなどに加えて風味をアレンジすることもできます。
ベトナム料理
ベトナムの国民食フォー(牛肉のスープ)にも使われており、煮込み料理や煮だし汁を作る時に用いられます。ベトナムの調味料ヌクマムには、スターアニスと一緒にクローブ、カルダモン、シナモン、山椒が加えられます。
その他
ドリンク類に加えるのもおすすめで、紅茶などのお茶に粉末または一片のアニスを加えると、体が温まり冷えの予防に役立ちます。
インドのドリンク・チャイに入れて甘味を付けるほか、ヨーロッパではアニスの代わりとして、アニゼットやパスティスといったリキュール類の香りを良くする時に用いられることがあります。
クッキーやビスケット、ケーキなどお菓子に香りをつける時にも活用でき、洋食では魚介類を使った料理と組み合わせやすいです。
スターアニスを使った主な料理と合わせやすい食材
茶葉蛋、杏仁豆腐、五香粉、餃子、麻婆豆腐、八宝菜、中華麺、中華系スープ、フォー、チャイ、菓子類など
組み合わせやすい素材
食材
鶏肉、魚介類、豚肉、根菜類、カボチャ、醤油など
ハーブ・スパイス
カシア、シナモン、チリ、コリアンダー(種子)、フェンネル(種子)、ガーリック、ジンジャー、レモングラスなど
効能・効果
スターアニスは主に胃腸の働きを良くする作用、血行促進作用、殺菌作用などがあり、消化不良や冷え性、筋肉痛、風邪の時などに効果を発揮するスパイスです。
中国伝統医学や漢方では疝痛やリウマチに良いとされ、アーユルヴェーダでは興奮・刺激、駆風などの作用があるとされています。
- 女性ホルモン様作用
- 健胃作用
- 鎮痛作用
- 駆風作用
- 殺菌作用
- 興奮作用
使用時の注意点
ホルモンに作用するため、乳幼児、妊娠中、授乳中の女性は使用に注意が必要です。
スターアニスの基本情報
学名 | Illicium verum |
英名 | Star anise、Chinese star anise |
別名 | ハッカク(八角)、トウシキミ(唐樒)、ダイウイキョウ(大茴香) |
科名・属名 | マツブサ科、シキミ属 |
原産地 | 中国南部、ベトナム |
使用部位 | 果実 |
スターアニスは中国南部やベトナムの原産で、木は高さ10m以上に育つ高木です。先の尖った楕円形の葉を持ち、3月~5月頃になるとピンク~赤色をした小さな花が咲きます。
スターアニスは日本原産のシキミと果実の形が似ていますが、シキミは有毒なため注意が必要です。
歴史・エピソード
中国漢代の本草書『神農本草経』にも記されており、体質強化に役立つ「上品」に分類されています。
栽培自体は紀元前2,000年頃から行われてきたそうですが、ヨーロッパへ伝わったのは意外と遅く16世紀末ごろとされています。