サフランの特徴
サフランからは黄色の色素が採れ上品な香りがあるため、着色用スパイスとして有名。昔からパエリアやリゾットに黄金色を付けるのに使われてきました。
最高級スパイスのため一度にドバっと使うのには向いていませんが、花の甘味のほか刺激や苦みもある独特の香りがあり、料理に奥深い風味を与えてくれます。
高級なスパイス
料理には花から取れる糸状の赤い雌しべを使うのですが、一つの花からわずか3本しか取れず、2万本集めても125g程度にしかなりません。
さらに雌しべは細く繊細なため手摘みで収穫する必要があり、その価格はバニラの10倍、カルダモンの50倍になるといいます。そのため、サフランは最も高級なスパイスといわれます。
イラン産のものが最高品質とされ、濃い赤色をしたものが最高級でグレードの高いものからネギン、サルゴル、 プシャルと分類されます。(産地の1つであるスペインでも独自の等級があります。)
サフランの味・香り
刺激・苦さのある独特の風味。香りは花らしい上品さがある。
料理での活用方法

サフランを使う時の基本
サフランの色を抽出する
サフランに含まれる「クロシン」という色素成分が、鮮やかな黄色を生み出します。
クロシンは水溶性で油では解けないため、調理を始める前に水やぬるま湯に浸して色素を抽出するのがおすすめです。牛乳や白ワインでもOK、10分~20分ほど浸すと色が出てきます。水分なしで料理を作る時には、粉末にしたサフランを振りかけてなじませます。
量が多いと味が落ちる
苦さがあるので、使う量が多いと風味が落ちるので注意が必要です。また、調理の早い段階で液を加えると色が鮮やかになるものの香りが失われがちなので、香りを料理に活かしたい場合は調理の後半で加えるようにします。
ちなみに、サフランの香りにはリラックス効果があります。貴重なサフランを料理に使ったらその香りも嗅いでみましょう♪
サフランが良く使われる料理
米料理
サフランはスペイン・フランス・イタリア料理など洋食でよく使われるスパイスです。サフランは米料理と相性が良く、パエリア、ミラノ風リゾット、ピラフ、ビリヤニ、クスクスに少量のサフランを使うと、色と同時に繊細かつ上品な香りが楽しめます。
サフランと一緒に米を炊きこんだサフランライスはカレーと合わせると映えます。炊飯器があれば、材料は米・バター・サフランだけでも簡単に作れるので、エキゾチックな料理を作りたい時におすすめです。
スープ・シチュー
サフランは魚介類や乳製品と組み合わせやすく、地中海料理では魚のスープやシチューによく使われています。フランスのブイヤベース、スープ・ド・ポワソン(白身魚のスープ)、スペインのサルスエラ(魚介の煮込み)などが知られています。
菓子類
パンやケーキ、パイ、プティングを作りたい時にも活躍します。サフランの黄金色を活かしたアイスクリームもあるようです。
その他
サフランはハーブティーの材料になり、抽出して飲めば薬効が得られます。インドの伝統医学アーユルヴェーダでは利尿剤、消化器のトラブルにサフランが使われています。
サフランを使った主な料理と合わせやすい食材

ブイヤベース、スープ・ド・ポワソン、パエリア、サルスエラ、ビリヤニ、クスクス、アロス・コン・ポーヨ、ミラノ風リゾット、サフランケーキなど
組み合わせやすい素材
食材
アスパラガス、ホウレンソウ、ニンジン、鶏肉、卵、魚介類、マッシュルーム、カボチャ、米など
ハーブ・スパイス
アニス、カルダモン、シナモン、フェンネル、ジンジャー、ナツメグ、ペッパー、パプリカ、ローズのつぼみなど
効能・効果
薬用ハーブとしてのサフランは、主に神経の興奮を鎮めて精神を安定させる鎮静作用、胃腸などの痙攣を抑える鎮痙作用などが知られています。
生理痛、更年期障害など女性特有のトラブルに用いられたり、体を温める働きもあり民間療法的に使われることも。他にも抗うつ作用により不安を和らげる働きがあるといわれます。
- 通経作用
- 鎮痛作用
- 鎮静作用
- 健胃作用
- 発汗作用
- 鎮痙作用
- 血行促進作用
使用時の注意
- 妊娠中の使用には注意が必要とされます。
- 色素成分で皮膚や舌が黄色くなることがあります。

主なサフランの種類
- イラニアンポーシャル
- マンチャサフラン
- カシミーリクーペ
染色にもおすすめ
料理で使われることが多いサフランですが、仏教の僧侶の法衣の染料に使われるため、一定量のサフランがあれば布の染色にも活用できます。ヒンドゥー教では聖なる色とされています。
サフランの基本情報
学名 | Crocus sativus |
英名 | saffron |
別名 | バンコウカ(番紅花)、咱夫藍、洎夫藍、洎夫蘭 |
科名・属名 | アヤメ科クロッカス属 |
原産地 | 地中海沿岸、小アジア地方、スペイン、イラン |
使用部位 | 雌しべ |
アヤメ科クロッカス属の耐寒性多年草(球根植物)で、草丈10~15cmほどの秋~初冬にかけて4~5㎝ほどの薄紫色のかわいい花を咲かせます。
原産地は地中海沿岸地方といわれています。
歴史・エピソード
サフランの歴史は古く、紀元前7世紀に編集されたアッシリアの植物誌や古代エジプトの医学書『エーゲルス・パピルス』にもその名が登場します。サフランから染められる見事な黄金色は、古代ギリシャでは王族だけが利用できる色でした。
生薬では「番紅花(ばんこうか)」と呼び、鎮静、鎮痙、通経などの作用があるとされます。





