クローブの特徴
クローブは代表的なスパイスの1つで、開花する直前のつぼみを乾燥させて作られるため釘のような独特の見た目をしています。香りは特徴的ですが殺菌・消臭効果が高いので意外と汎用性が高いのがポイント。肉や魚の臭み消しや防腐に活躍します。
クローブは漢方などで「丁子(釘という意味がある)」なので呼ばれる生薬でもあります。体を温めて胃腸の働きを良くするといわれ、その香りを嗅ぐことで消化不良の改善を促す働きが期待できます。
クローブの味・香り
スパイシーかつ清涼感をもたらす独特の香りで、樟脳のようなシャープさがある。やや薬っぽい味。
料理での活用方法
クローブは香りが強く、多く入れると漢方薬のような味になりがちなので、料理に入れる時の量は控えめにします。やや赤みがかった明るい茶色を持ち、きれいにポキンと折れるものは品質が良いとされます。
クローブを使った主な料理・スパイス
香辛料
インドのガラムマサラや中国の五香粉、フランスのカトルエビスなど、スパイスミックスによく加えられます。
シナモンやカシア、バニラ、スターアニス(八角)などやや甘めのスパイスと相性が良く、カレーパウダーには欠かせない素材の1つ。カルダモンなど香りの強いスパイスとも合わせやすく、料理に清涼感のある香りを加えてくれます。
薬っぽい風味なのでクローブ単体で使うことは少なく、他のスパイスと一緒に使う場合がほとんど。チャイや紅茶、コーヒーなどにそのまま入れて香りを楽しんでみては。
カレー
カレー粉の材料としても重宝。インド料理でよく料理の初めにスパイスを油で炒めて、その香りや成分を油に移す作業が行われますが、クローブはその時のスタータースパイスにも良く用いられます。ビーフ・チキンなど肉類が主役のカレーに使うと肉の臭み消し効果も得られます。
肉などの具材に十字の切り込みを入れてからそこにクローブのホールを刺し込むと調理後に取り出しやすくなります。
肉の臭み消し
既に書いた通り、肉を使った煮込み料理やスープ、オーブン料理などで乾燥したクローブを複数刺して調理すると、臭み消しになります。ハム、ポトフ、ビーフシチュー、豚の角煮、ハンバーグなどを作る時におすすめで、辛口・甘口どちらの料理にも活用できます。
菓子・デザート
クローブの粉末はケーキやクッキー、サブレなどの洋菓子に使うこともできます。
やや薬っぽい風味があるので単品では使いにくいですが、フルーツを使った料理に活用できるそう。焼きリンゴ、アップルパイ、フルーツのコンポート、ジャムなどを作る際に症状加えてスパイシーな味わいにアレンジしてみては。
その他
クローブの精油成分には防腐効果があり、ピクルスやソースに使えます。クローブに含まれる成分には鎮痛作用や抗菌作用が含まれるため、インドでは葉の痛みにクローブを噛んで痛み止めとする習慣があります。
クローブを使った主な料理
カレー、シチュー、ハム、ポトフ、ビーフシチュー、豚の角煮、ハンバーグ、カトルエピス、五香粉、ガラムマサラなど
組み合わせやすい素材
食材
リンゴ、ビーツ、赤キャベツ、ニンジン、ハム、オレンジ、豚肉、カボチャ、サツマイモ、オレンジ、チョコレートなど
ハーブ・スパイス
オールスパイス、ローリエ、カレーリーフ、フェンネル、ジンジャー、カルダモン、シナモン、チリ、コリアンダーシード、メース、ナツメグ、タマリンド、カシア、バニラ、スターアニス、ペッパー、オレンジピール、レモンピールなど
効能・効果
クローブの主成分である香り成分・オイゲノールは、優れた鎮痛作用・抗菌・抗ウイルス作用を持つことで知られています。
そのため、歯痛や歯肉炎など口内トラブルによく用いられており、歯学の領域で活用されることから、クローブの芳香は「歯医者さんの香り」と呼ばれます。
- 鎮痛作用
- 神経麻痺作用
- 抗炎症作用
- 抗菌・抗ウイルス作用
- 消化促進作用
クローブの基本情報
クローブはスパイスアイランドと呼ばれるモルッカ諸島が原産地で、熱帯・亜熱帯地方で高さ10m~15mに育つ木から収穫することができます。
開花直前に最も香りが強くなるため、花はほとんどつぼみの状態で収穫されてしまいますが白い花を咲かせます。
また、その木から漂う芳香がはるか遠くまで届くといわれ「百里香」という別名もあります。
学名 | Syzygium aromaticum |
英名 | Clove |
別名 | チョウジノキ、チョウジ(丁子、丁字)、チョウコウ(丁香)、ヒャクリコウ(百里香) |
科名・属名 | フトモモ科フトモモ属 |
原産地 | インドネシア(モルッカ諸島) |
使用部位 | 蕾 |
歴史・エピソード
その形が釘に見えることから和名では「丁字(丁は中国語で釘の意味)」と呼ばれ、漢代の中国で宮中での口臭予防に使われたという記録が残されています。
クローブは殺菌作用があり、ヨーロッパで中世にペストが流行った時代には、柑橘類に乾燥したホールのクローブを刺して魔除けとしました。