五香粉の特徴
中国の代表的なスパイスのひとつで、5種類の香りを持ったスパイスをブレンドして使うため「五香粉」と呼ばれます。
よく使われるのは以下の5種類で、見た目的にはややオレンジよりの茶色。「四香一辛」で花椒を中心に4つの香りを用いるのが基本です。
- 花椒(または山椒)
- 丁香(チョウジ、クローブ)
- 肉桂(カシア)
- 八角(スターアニス)
- 小茴香(フェンネル)
八角/小茴香の代わりに陳皮が使われる場合も。特に中国の南方では南国風味の甘さがある八角を配合するそうです。
他にも地域やレシピによってコショウ、アニス、ナツメグ、ショウガ、甘草、ガランガル、砂仁(ヨウシュウシャ)など、中国伝統医学などで生薬扱いされるスパイスが用いられます。
五香粉は中国以外にも、中国のお隣にあるベトナムや台湾の料理で活用されます。
日本の調味料にはない甘くてアジアンな香りを持つスパイスミックスです。
五香粉の味・香り
料理での活用方法
中華風の風味を付けたい時におすすめ
中華料理、中華風の味付けをしたい時に便利で炒め物、煮物、揚げ物、マリネ液、ソース、ドレッシング、スープなどあなり調理法を選ばずに活用できます。
中華系食材と相性良し
食材では鶏肉、豚肉などの肉類、ザーサイ、タアサイ、空心菜、ニンニクの芽といった中国野菜に合わせやすく、肉・魚料理に加えると臭み消しの役割も果たします。
下味付けやつけ塩にブレンドして使う
豚肉の煮物や肉団子・唐揚げの下ごしらえに、中華料理でよくあるつけ塩にも塩と一緒に混ぜて使われます。それ以外では甘さと辛さを活かしたお菓子作りに活用されることがあります。ケーキやクッキー、パウンドケーキなどに使って風味づけに。
唐揚げ、中華炒め、ルーローハン、麻婆豆腐、餃子、肉団子、豚の角煮、チャーハン、ピクルス、大鶏排(ダージーパイ)、蒸し豚、中華スープなど
五香粉に含まれるハーブ・スパイスの種類
花椒
日本のスパイス・山椒の仲間で、中国では2000年以上前から使われてきた生薬・香辛料です。
四川料理の激辛は花椒と唐辛子を基調とする場合が多く、火鍋に代表されるシビ辛のピリピリ感が日本でも人気のスパイスです。
丁香(チョウジ、クローブ)
薬のような独特の芳香で、香りが遠くまで届くことから「百里香」と呼ばれることもあるスパイスです。
クローブはつぼみを乾燥させたもので、抗菌作用に優れウイルスや細菌から体を守る働きが知られています。他にも歯の痛みを鎮める効果があり、口内のケアに使われることがあります。
肉桂(カシア)
シナモンには大きく分けて2種類あり、セイロン島周辺が原産地のセイロンシナモンと中国原産のカシアに分類されます。
どちらも香り自体は似ていますが、カシアの方が甘さが強く濃厚な風味。その香りには毛細血管を拡張させて血流を良くする働きがあるといわれます。
八角(スターアニス)
甘い香りを持つハーブ・アニスのような香りを持つのが特徴。星形の変わった形をした果実を乾燥させて使用します。
スターアニスは中華料理でよく使われるスパイスのひとつで、体を温めて胃腸の不調を解消したり、冷え性改善に役立つあるといわれます。
小茴香(フェンネル)
ディルやキャラウェイと同じセリ科ハーブの仲間で、葉と種子が食用に使われます。
薬用に使われる種子には甘さとほろ苦さが混じったような香りがあり、種子を使ったハーブティーは胃腸の不調を整えて腸内に溜まったガスを排出させる働きがあります。
陳皮
温州みかんの果皮を乾燥させたもので、その香りには胃の調子を整えたり体を温める働きがあるといわれます。
さらに、皮の白い部分にはヘスペリジンという成分が含まれており、体の炎症を鎮める働きも。柑橘系の香りをブレンドしたい時に便利です。
五香粉の基本情報
スパイス名 | 五香粉(ウーシャンフェン:中国語) |
英名 | five-spice powder |
原材料 | 八角、丁香(チョウジ、クローブ)、肉桂(カシア)、花椒、小茴香(ウイキョウ) |
原産地 | 中国 |
歴史・エピソード
五香粉は中国南部が発祥のスパイスミックスで、五味(酸味、苦味、甘味、辛味、塩味)、つまり東洋思想における五行(木、火、土、金、水)の5つの要素を取り入れているといわれます。
他にも、体の陰陽(温性・冷性)バランスを整えるための調味料として考案されたという説があるようです。