七味唐辛子の特徴
七味唐辛子は唐辛子を主体とした日本オリジナルのスパイスミックスです。スーパー、コンビニなどどこでも売っているので自宅にストックしている人も多いはず。
和食で活躍する調味料で、唐辛子のピリッとした辛さと赤みが料理に風味と華やかさを加えてくれます。
その名の通り7種類の薬味・香辛料をブレンドして作られるのですが、店や商品によって配合に違いがあります。唐辛子の他に、
- 山椒
- 麻の実
- ケシの実
- 白ゴマ
- 黒ゴマ
- 青のり
- ショウガ
- 陳皮
- 紫蘇
などが加えられ、何をプラスするかによって香りや味わいが大きく変わってきます。
ちなみに七味唐辛子は「七色唐辛子(なないろとうがらし)」とも呼ばれます。略して七色!昔、江戸の町ではこのように呼ばれていたそうですよ。
七味唐辛子という呼び名は上方(京都を中心とした関西)が発祥です。
七味唐辛子の味・香り
配合によって風味が異なるが、唐辛子のピリピリとした辛味、ゴマの香り、柑橘系の香り、海苔の味などが感じられる。
料理での活用方法
体を温めたり抗菌に役立つ薬味が多いので、冬場の寒い時期に使うと体がポカポカと温まります。
粉末タイプは基本的には振りかけて使います。練り七味や生七味のようにペースト系のタイプもあり、食べるラー油的にご飯にかける、薬味として料理に添える、和え物に混ぜるなどの使い方もできます。
うどん、そば、味噌ラーメン、焼き鳥、豚汁、牛丼、鍋物、漬け物、湯豆腐、水炊き、お吸い物などに。
使用時の注意点
辛さによる刺激があるため、辛味が苦手な方や小さい子供に与える場合は注意が必要です。
七味唐辛子に含まれるハーブ・スパイスの種類
唐辛子
唐辛子の辛味はカプサイシンという成分によるもので、特に果実の皮に多く含まれています。体を温めて代謝を促したり、食欲を掻き立てる働きがあります。
唐辛子は体内でビタミンに変わるβ-カロテンや、ビタミンEが豊富に含まれています。どちらもアンチエイジング効果があるため、唐辛子には健康・美容効果もあるのです。
山椒
醤油・味噌を使った煮物・汁物に合う和風スパイスです。ウナギの蒲焼やちりめん山椒、山椒煮が有名ですね。舌がしびれるような辛さはサンショオールに由来。胃腸を活発化させ消化不良の改善に役立つ働きがあるといわれます。
麻の実
青魚に多いオメガ3脂肪酸が含まれるスーパーフードのひとつで、種子に含まれる油分にはアンチエイジングやアレルギー体質の改善に役立つ効果があります。
特に決まりはありませんが、麻の実は煎ると香ばしくなるため、七味唐辛子に使う時は軽く炒ってから使うと香りが引き立ちます、
ケシの実
お菓子作りにも使われる小さな種子で、たんぱく質やミネラル・ビタミン、食物繊維のほか種子に多い脂肪酸が含まれます。あまり香りはないですが、かさばらず栄養補給に役立つので七味唐辛子にも是非入れたい
白ゴマ
ゴマは抗酸化に優れた「ゴマリグナン」やビタミンEが多く含まれており、体の老化予防に優れた食材。がん抑制や血管の硬化対策にも良い働きがあるとされます。
ゴマはどんな種類でも約50%脂質の資質が含まれるといわれますが、黒ゴマよりも白ゴマの方が油分を多く含有します。
黒ゴマ
黒ゴマは抗酸化に役立つポリフェノール類が多く含まれており、白ごま同様アンチエイジング効果が高めです。アントシアニンやカルシウム、鉄分などが含まれます。
黒ゴマは漢方や薬膳で、冬に弱りがちな「腎(腎臓・副腎)」を助ける食材とされています。
ショウガ
辛味があり、冬の時期に身体を温める食材として有名ですね。
七味唐辛子に使われる乾燥させたショウガは「乾姜」と呼ばれ、漢方では体の冷えを取る効果を持つといいます。生のショウガよりも刺激が少ないので使いやすいはずです。
陳皮
温州みかんの果皮を乾燥させたもので、七味唐辛子で柑橘系の香りを強めたい時におすすめ。その香りには胃の調子を整えたり体を温める働きがあるといわれます。皮の白い部分にはヘスペリジンという成分が含まれており、抗炎症の働きがあります。
青のり
青のりは辛味ベースの調味料である七味唐辛子の味をマイルドにしてくれる調整役。疲労回復や健康維持に役立つビタミンB群が多く含まれます。カルシウム、マグネシウム、鉄分なども多く、植物由来の素材が多い七味に入れると一風変わった風味になります。
シソ
干しの色付けに使われるシソも七味の素材。シソには大きく分けて大葉と赤紫蘇がありますが、お店のブレンドによってどちらも使われます。
シソには殺菌効果や解毒効果があり、体の浄化に役立つ食材。旬は6~9月頃なので生が手に入ったら乾燥させて加工するのもおすすめです。
七味唐辛子の基本情報
スパイス名 | 七味唐辛子 |
英名 | shichimi togarashi、nanami togarashi |
原材料 | 山椒、麻の実、黒胡麻、陳皮、紫蘇、芥子、青海苔、生姜 |
原産地 | 日本 |
歴史・エピソード
唐辛子は現在の東京・両国にある薬研堀が発祥地です。当時この近辺に薬問屋や医者が多く、様々な生薬・薬味が集まりやすい地域でした。
江戸時代前期の漢方薬研究家である中島徳右衛門(徳兵衛)が漢方薬をヒントにして開発したのが七味唐辛子です。
販売し始めると瞬く間に人気を集め、当時の将軍・徳川家光もこの調味料を賞賛したそう。全国に広まって京都の「七味屋」や長野の「八幡屋礒五郎」といった七味のお店が誕生しました。
昔は薬効を期待して寺の門前でよく販売されていたそうです。
当時の七味唐辛子売りは、客の好みに合わせてその場で薬味・香辛料を配合していました。(現在でも店頭での調合販売はあります)
- 東京・浅草寺の「やげん堀(中島商店)」
- 京都・清水寺の「七味家」
- 長野・善光寺の「八幡屋礒五郎」
お店によって七味唐辛子の配合は様々です。
主なスパイスミックス
七味唐辛子 | 五香粉 |
カレー粉 | ガラムマサラ |
エルブ・ド・プロバンス | チリパウダー |