タラゴンの特徴
タラゴンはフランス料理で最もよく使われるハーブの1つで、調理の世界ではフランス語名の「エストラゴン」の名で定着しています。フランスの香辛料「フィーヌゼルブ」に含まれることが多く、パセリ、チャイブ、チャービルと共にフランス料理では重要な存在です。
タラゴンではタルタルソースやタラゴンビネガーでの利用が有名。葉や茎からはエストラゴールという成分に由来する、ややスパイシーで甘い香りが漂います。
フレンチタラゴンとロシアンタラゴン
タラゴンには大きく分けて「フレンチ」と「ロシアン」の2種類があります。料理に使いやすいのは風味のよいフレンチタラゴンの方。ロシアンタラゴンはフレンチタラゴンに比べると香りが弱くやや風味が劣りますが、育てやすいという特徴があります。
フランス産を「フレンチタラゴン」といいそうなものですが、ロシア産のものが「フレンチタラゴン」と呼ばれています。ロシアンタラゴンはアメリカ原産(!)、色々と紛らわしいですね。
タラゴンの味・香り
アニスに似た甘い香りとバジルに似た苦味がある。繊細な風味で、噛むと刺激が感じられる。
料理での活用方法
タラゴンは葉や茎などの地上部を活用します。鶏肉、白身魚、卵、乳製品、酢などと一緒に調理すると風味を活かせるので、ローストチキン、チキンソテー、シチューやオムレツ、ムニエル、マリネ、ピクルスといった洋食を作る時に用いられます。
タラゴンを使う時の基本
タラゴンは強い香りではありませんが甘みと苦みが混じった独特な風味を持つので、使用量は控えめにし素材の味を引き出せるよう調整しながら料理に取り入れてください。
タラゴンが良く使われる料理
フランス料理
タラゴンは主に鶏肉や魚介類(えびなど)を使った料理に活用されており、あの有名なエスカルゴ料理にも活用されています。タラゴン自体が繊細な風味なので、味の濃い料理よりも、味に爽やかさのある料理の方がタラゴンの風味を活かせるでしょう。
また、タラゴンの葉や茎は野菜としても食べられるので、フレッシュのサラダに加えれば、甘くすっきりとした芳香を加えてくれます。タラゴンはトマトとも相性が良く、バジルと同じように他のハーブの風味を高める効果も!その他、オリーブオイルと一緒にチーズの風味づけに加えられることがあります。
シチューやスープに入れて風味づけに
卵や牛乳、生クリームとよくなじむので、フランス料理であればヴィシソワーズ(冷たいジャガイモのスープ)にも使えます。牛乳を使ったシチューや卵料理を作る時に、タラゴンを取り入れてみるとフランス料理系の味わいに♪
肉・魚の臭み消し
爽やかな香りがあるため、フレッシュのタラゴンを魚の下に敷いたり、葉や茎で鶏肉を包んであぶる・蒸し焼きにすると肉の臭み消しになります。フランス料理でもよく使われる手法で「タラゴンチキン」とも呼ばれます。
肉や魚のソテー、マリネを作る時におすすめですが、細かく刻んだタラゴンをハンバーグに混ぜ込むなどのアレンジもできます。
ミックススパイス
フランスのミックススパイス「フィーヌゼルブ」によく使われるハーブで、チャイブ、チャービル、パセリなど現地のハーブと一緒にブレンドされます。フィーヌゼルブは数種類のフレッシュハーブをみじん切りにして作るスパイスで、ポテトサラダやオムレツなど様々な料理に振りかけて使えます。
タラゴンはバジル、ローリエ、ケイパー、ディルなどのハーブとも相性が良いので、これらを組み合わせても良よさそうです。
ビネガー・オイル
タラゴンはビネガー(酢)とも相性が良く、数あるハーブビネガーの中でも「タラゴンビネガー」は用途の多い酢として知られています。普通のお酢(米酢など)に浸して作ることもできますが、洋食で使われるワインビネガーをタラゴンと一緒にに立てればビネガーに香りが移ります。
若葉をオリーブオイルに漬ければハーブオイルに。ビネガー・オイルどちらも自家製ドレッシングを作る時に便利です。タラゴンはタルタルソースやバターソースの材料になります。
タラゴンを使った主な料理と合わせやすい食材
タラゴンチキン、エスカルゴ料理、ヴィシソワーズ、オムレツ、タラゴンビネガー、フィーヌゼルブ、べアルネーズソース、タルタルソースなど
組み合わせやすい素材
食材
アーティチョーク、ズッキーニ、アスパラガス、卵、魚介類、ジャガイモ、鶏肉、トマトなど
ハーブ・スパイス
バジル、ローリエ、ケイパー、チャービル、チャイブ、ディル、パセリなど
効能・効果
- 抗菌作用
- 消化促進作用
- 健胃作用
- 抗痙攣作用
- 通経作用
- 利尿作用
- 苦衷作用
- 鎮痛作用
主なタラゴンの種類
- フレンチタラゴン
- ロシアンタラゴン
- メキシカンタラゴン
使用時の注意点
キク科アレルギーの人、妊婦の方は使用に注意が必要です。
基本情報
学名 | Artemisia dracunculus |
英名 | Tarragon |
別名 | エストラゴン(フランス語名) |
和名 | ー |
科名・属名 | キク科ヨモギ属 |
原産地 | シベリア、北アメリカ、南ヨーロッパ |
使用部位 | 茎、葉 |
タラゴンはロシアや中央アジア、北アメリカ原産地。涼しく乾燥した土地を好みます。高さ40㎝~50㎝ほどに育つ植物で、直立する茎から細長い葉が互生します。
暑さに弱いので日本ではあまり花が咲かないようですが、運が良ければ7月ごろに黄色い花が見れるかもしれません。
歴史・エピソード
タラゴン栽培の歴史は他のハーブ・スパイスに比べると比較的歴史が浅く、ヨーロッパにはモンゴルを通じて12~13世紀頃に伝わったといわれています。
海外ではフランス料理のほか、原産地(ロシア・モンゴル)に近いイラン、アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、ウクライナ、カザフスタンといった地域で炭酸飲料の風味付けなどに活用されているそうです。