カイエンペッパー(チリ・唐辛子)の特徴
いまや香辛料といして欠かせないカイエンペッパー。激辛好きの胃袋をつかむスパイスですね。
カイエンペッパーとはチリペッパー(唐辛子)の別名です。今のところそれぞれの厳密な区別方法はないようで、カイエンペッパー「カイエン」は品種名ではなく、フランス領ギアナのカイエンヌに由来する名前です。
カイエンペッパーは乾燥品よりも生の方が辛味が強く、味もシャープ。品種によって含有量は異なりますがビタミンAやCが豊富に含まれており、実は栄養価もある食材です。
唐辛子はもともと熱帯アメリカ地域が原産。「鷹の爪」は日本で作られた品種です。
カイエンペッパー(チリ・トウガラシ)の味・香り
ピリピリと刺激のある辛味。加熱すると少し甘みが出る。
料理での活用方法
世界各国で広く使われるスパイスで、原産地の南アメリカだけでなく、アジア、アフリカ、アメリカといった各地域で料理に活用されています。通常、カイエンペッパーというと赤唐辛子の果実を乾燥させたものをいい、辛みを足す場合や肉類の臭み消しに用いられます。
辛さの源・カプサイシン
カイエンペッパー特有の辛みは「カプサイシン」という成分によるもので、この成分の含有量によって辛みが変化してきます。健胃作用があるほか、発熱を促したり代謝を高めたりする作用があります。
また、カプサイシンは熱に強く炒め物や焼き料理に使っても辛味が失われません。辛さは品種ごとによって1~10までの10段階で評価されています。
形状による違い
粉末 | 乾燥したカイエンペッパーを細かく挽いたもの。辛い種類のものから作られることが多く、香りよりも辛みが特徴的。 |
千切り | カイエンペッパーの千切りは韓国料理などで使われ、料理の飾りとしても使えます。 |
フレーク | カイエンペッパーを粗びきしたもの。甘みの強いものは中東料理やハンガリー料理などに、辛みの強いものは韓国料理や日本料理に使われる。 |
乾燥ホール | カイエンペッパーの実を丸ごと乾燥させたもの。フレッシュなものよりも風味が強くなります。 |
カイエンペッパー(チリ・唐辛子)
カレー
カイエンペッパーは、カレーのピリッとした辛みには欠かせないスパイスですね。ごく少量でも辛みが強まるため量には注意が必要ですが、ターメリックやコリアンダー、クミンなどと組み合わせることで、他のスパイスの香りを引き立たせる効果があります。
本場のインドでは現地でとれた新鮮な唐辛子に加え、緑色の唐辛子を使うこともあるそう。カイエンペッパーは料理の種類問わず使えますが、鶏肉と相性が良いのでカレーに添えるチキンの辛みづけに便利です。
スパイスミックス
複数のスパイスを組み合わせて作るスパイスミックスには、カイエンペッパーを原料とするものが少なくありません。
日本の七味唐辛子やカレーに使われるカレー粉・ガラムマサラなどがあり、ペースト系調味料ではチリソース、ラー油、中東のハリッサ、タイのナムプリック、インドネシアのサンバルなどが知られています。いずれも辛味を主軸としたスパイスミックスで、現地の食材と組み合わせて作られます。
スパイスにはそれぞれ「消化促進作用」「血行促進作用」「食欲増進作用」など様々な効能があり、複数組み合わさることで相乗効果が得られます。
メキシコ料理
もともと中央アメリカが原産地であるため、メキシコではチリ系料理が豊富。タコス、ケイジャンチキン、チリコンカンなどはその代表例で、味付けというよりも辛味づけ目的で使われますが、魚や肉の臭み消しにも使われます。
ハラペーニョやハバネロなど辛さで有名な唐辛子を用いるのも特徴です。
アジア料理
アジア料理では日本の七味唐辛子、韓国のコチュジャン、中国の豆板醬、ラー油など用いられます。
乾燥させたものを輪切りや粉末にしたものが多く、生の物は漬け物に加えられます。輪切りのものは飾りつけでもよく見かけますね。ピリッとした辛さで心地よい刺激を与えてくれます。生は醤油や酢、泡盛と漬け込んだり、ソース、たれ、ドレッシングなどに加工でき、乾燥したものは輪切りや粉末にして味つけ、飾り付けに使えます。
日本では歴史的に長い間辛い料理が普及しませんでしたが、現在では柚子胡椒や味噌漬け、酢漬けなどに使われます。
その他
各種サラダ、炒め物、焼き物、煮込み料理、スープ、ソース、漬け物、パスタなどあまり料理の種類を選ばずに活用できます。寒い地域では体を温める目的で使われることも多く、冷え対策や凍傷などの治療に用いられることもあるようです。
辛味が平気なら冬の時期、料理に少量加えてみるとよいかもしれません。脂肪の分解を助ける効果があるといわれ、肥満防止にも良いとされています。
カイエンペッパー(チリ・唐辛子)を使った主な料理
カレー、タコス、ケイジャンチキン、チリコンカン、アラビアータ、タバスコ、コチュジャン、豆板醬、ラー油、ガラムマサラ、七味唐辛子、チリパウダー、カレーパウダー・ペースト、ハリッサ、サンバル、ナムプリックなど。
組み合わせやすい素材
食材
野菜類、肉類、魚介類、穀類などほとんどの食材と組み合わせられる。
ハーブ・スパイス
ほとんどのハーブやスパイスと組み合わせられる。ローリエ、コリアンダー、ラウラムなど
効能・効果
カイエンペッパーには辛味成分のカプサイシンが豊富に含まれており、このカプサイシンには体温上昇、発汗、脂肪の燃焼、等様々な効果があります。食欲不振を防ぐビタミンCが含まれるため、カプサイシンと合わせて胃粘膜の刺激による食欲増進効果も期待できます。
また、体温を上げ発汗を促すため体内の新陳代謝・ダイエットにも〇。血行をよくし疲労回復に役立つほか、血中コレステロール値の低下にも効果があるとされています。
- 血行促進作用
- 胃液分泌促進作用
- 脂肪分解促進作用
- 発汗作用
- 消化促進作用
- 殺菌作用
使用時の注意
- 多量摂取は避けるようにします。
- カイエンペッパーにアレルギーがある場合も使用を控えます。
主な唐辛子の種類
プリッキーヌ | タイのカイエンペッパー。最長2~3㎝の小さく、アジアで最も辛いといわれる。 |
カシミリ・チリ | 辛味が少ないチリ。香りが良いのでインドカレーで赤色を出したい時によく使われる。 |
ブードジョロキア | 少し前まで世界一辛いとギネスブックにも登録されていた。 |
ハバネロ | 強い辛味と共に爽やかなかんきつ系の香りを併せ持つカイエンペパー。ブードジョロキアの搭乗前はギネスブックに登録されていた。 |
プリックチーファ | タイのカイエンペッパー。長さ7~8㎝と大型だが辛みは強くない。 |
ハラペーニョ | メキシコのカイエンペッパー。鮮やかな緑色で果肉が厚い。中辛で、赤く完熟したものは甘くなります。 |
カイエンペッパー(チリ・唐辛子)の基本情報
中央~南アメリカ・カリブ諸島が原産で、現地で数千年にわたって栽培されてきた歴史の深い食材でもあります。
植物としては適応力が強く、熱帯から温帯地域まで幅広い範囲で生育します。そのため、形や色、風味の違った品種が生まれ、現在発見されているだけで3000種類以上にのぼるといわれています。果実の中が空洞になっているのが特徴で、中には数十個の種子が含まれています。
学名 | Capsicum annuum |
英名 | cayenne pepper |
別名 | トウガラシ(唐辛子、唐芥子、蕃椒)、チリ |
科名・属名 | ナス科トウガラシ属 |
原産地 | 熱帯アメリカ |
使用部位 | 葉、果実 |
歴史・エピソード
コロンブスが胡椒(ペッパー)と思い込んで苗木をスペインに持ち帰ったため、コショウと関りがないのにペッパー(スペイン語ではピメント)と名付けられています。
ヨーロッパでは当時、貴重な黒胡椒の代用品として活用されていました。