メースの特徴
メースはナツメグと同じ植物の果実から採れるスパイスで、メースは果実を割ったときに現れる仮種皮と呼ばれる皮の部分を乾燥させたものです。
この仮種皮は生だと鮮やかな赤色ですが、乾燥させるとオレンジ~薄茶色に変化。ナツメグとなる果実の核からはぎ取って使います。
甘さとほろ苦さを持つナツメグが肉料理に多く使われるのに対して、繊細でマイルドな風味を持つメースはお菓子やデザートにも使われるのが特徴。メースとナツメグは別物のスパイスとして扱われますが、どちらも同じ木から作られるため香り自体は似ています。
メースの味・香り
ナツメグのフレッシュな甘さ・ほろ苦さ・辛味に加えて、木の香りや胡椒やレモン、クローブに似た香りも混じっている。
料理での活用方法
基本的にナツメグよりもメースの方が高価です。ホールのメースはあまり見かけませんが粉末のスパイスはスーパーでも販売されているので、より穏やかな風味にしたい場合はメースを選ぶのもおすすめ。
メースの方がナツメグよりも食材に色が移りにくいため、素材の色を活かしたい時はメースが便利です。
メースが良く使われる料理
スープやシチューの風味を良くする
メースの粉末はペシャメルソースやコンソメスープ、オニオンスープ、クラムチャウダー、クリームシチューなどのスープ類の風味づけにおすすめされます。
香りの強いスパイスを使うと料理の雰囲気が変化しがちですが、メースは香りに上品さを持つので風味を少し整えたい時に役立ってくれます。ホールのメースを煮込みやスープストックに使う時は、後で取り出します。
デザートやドリンクの香り付けに
ナツメグと同じようにクッキーやケーキ、パイ、プディングなどの焼き菓子に使うと繊細な味わいに仕上がります。
デザート系のケーキやプリンに混ぜるほか、チーズスフレやチョコレート菓子のような比較的味の濃いものを作る時に使ってもOK。ジャムの味付け、スパイスティーやチャイなどのスパイス系ドリンクにも使い道があります。
その他の使い方
粉末はガラムマサラなどカレー用のスパイスに加えても良いですし、ビリヤニ、タンドリーチキン、グラタンに振りかけるのもありです。
メースを使った主な料理と合わせやすい食材
ペシャメルソース、コンソメスープ、オニオンスープ、クラムチャウダー、クリームシチュー、クッキー、ケーキ、パイ、プディングなどの焼き菓子、プリン、スフレ、ジャム、チャイなど
組み合わせやすい素材
食材
キャベツ、ニンジン、チーズやチーズ料理、卵料理、鶏肉、牛肉、魚介類、タマネギ、牛乳、ジャガイモ、サツマイモ、ホウレンソウなど
ハーブ・スパイス
カルダモン、コリアンダー、クミン、シナモン、クローブ、、ローズゼラニウム、ジンジャー、ナツメグ、パプリカ、ペッパー、タイムなど
効能・効果
メースには消化促進作用があるため食欲不振がある時によく、腹部の膨満感や腹痛などの胃腸の不調がある時に良い効果があるといわれます。基本的にはナツメグと同じような効果・効能があります。
- 抗炎症作用
- 抗菌作用
- 消化促進作用
- 整腸作用
使用時の注意点
- 妊娠中は使用を避けてください。
- 多量摂取すると眠気が出たり、幻覚を見たりすることがあるため注意が必要です。
メースの基本情報
学名 | Myristica fragrans |
英名 | Nutmeg |
別名 | ー |
和名 | ニクズク(肉荳蔲) |
科名・属名 | ニクズク科ニクズク属 |
原産地 | 東インド諸島、モルッカ諸島 |
使用部位 | 果実の種子核中の仁 |
ナツメグは熱帯気候に生息する常緑高木で、灰褐色の幹に長さ15㎝近くになる濃い緑の葉が付きます。雌雄異株で、種子をまいてから7~15年後に初めて果実が実ります。
ナツメグとメースが採れる果実がなるのは、黄色い小さな花が咲いた後。長さ5㎝ほどのアンズ型で固いですが、割れると中から赤い仮種子(メースになる部分)が姿を現します。
歴史・エピソード
メースとナツメグが記録に登場し始めるのは10世紀頃から。当時はナツメグよりもメースの方が評価が高かったといいます。16世紀の大航海時代にモルッカ諸島などスパイスの産地が世界に発見されると、他のスパイスと共に重要な交易品となりました。
現在ニクズクの木は世界各地に移植・栽培されていますが、もともとはバンダ諸島でしか栽培されていなかったそうです。